支援型自然再生(ANR)
カカオ生産は、主にフルサン栽培(遮蔭樹のない単一栽培)や、遮蔭率の低いアグロフォレストリーによって行われています。フルサン栽培のカカオ農園は、土壌の質の低下、高温ストレス、病害虫の発生、さらには花粉媒介者個体数の減少など、さまざまな脆弱性を抱えています。
このような農園では、植栽から約25年が経過すると収量が急速に低下し、結果としてカカオ生産地域におけるさらなる森林破壊のリスクを高めることになります。
過去10年間にわたり、森林減少地域の回復を目的として大規模な植林・再森林化プロジェクトが実施されてきました。しかし、これらの植林活動では樹木の生存率が低い、あるいは極めて低いことが多く、その後の管理も限定的で、コストも高いという課題がありました。
こうした背景から、森林被覆回復を促進する要因を理解するための研究が行われるようになりました。
その研究の中で、アグロフォレストリーや支援型自然再生(Assisted Natural Regeneration: ANR)といった手法が、多くの課題に対する有望な解決策として注目されています。
自然発生した樹木はあらゆる場所に存在しており、農園内の樹木の大部分を占めています。これらの自然発生樹木は、植栽された樹木よりも種の多様性が高く(平均9種に対して植栽木は平均4種)、年間成長率も植栽木より約10%高いことが分かっています。また、植栽から30年後には、自然発生樹木の材積は植栽木より41%多くなります。
さらに、時間の経過とともに植栽木は成長よりも繁殖に多くのエネルギーを費やすため、自然発生樹木ほど炭素を蓄積しません。植栽後20年時点では、自然発生樹木の炭素貯蔵量は植栽木の約2倍になります。
自然発生樹木の優位性
- より高い生存率と成長率
- より発達した根系
- 初期段階でのストレスが少ない
- 遺伝的多様性が高い
- 繁殖よりも成長に多くの資源を投入する
2024年、ココアホライズン財団は、コートジボワールにおいて、研究機関、カカオ業界、生産者が連携する革新的なパートナーシップのもと、独自のANRパイロットプロジェクトを開始しました。
初期の実現可能性調査は、フランス農業研究国際協力センター(CIRAD)との共同設計により実施されました。
プロジェクト概要
- 2026年末までにインデニエ・ジュアブラン州(Indénié-Djuablin)で2,400ヘクタールを対象に展開
- 参加農家に対して3年間の支援を提供
- 個別支援とグループ研修(「シャン・エコール/農業学校方式」)を組み合わせて実施
- 苗木の生産、輸送、植栽を減らすことで枯死率を低減
- 遮蔭管理(シェードマネジメント)をプログラムの中核に位置付け
- 研究成果を実践的なツールへ転換
- 写真付き研修教材
- 個別指導
- 植物学・造林学(シルビカルチャー)の研修
私たちの現場での成果は、自然再生支援における樹木の豊富さ、多様性、および成長性能に関する研究結果を裏付けています。また、農家による採用率も高く、最も重要な成果として、樹木の生存率が大幅に向上していることが確認されています。